手帳

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「Last 勤務」・・・たった一行だが
病院事務長として過ごした最後の日にこう書いてあある
そして・・この日を最後に・・空白が続く
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1998年9月30日・・がその日だった
翌日から・・仕事としての陶芸に転じたことになる
制作と教室・・10月1日欄に「First 勤務」とでも書けばよかったかも・・
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今も手元に残してある使い古したシステム手帳が二冊
左がダイアリーで右はアドレス帳・・一冊では間に合わなかった
携帯電話はまだ一般的ではなかった時代である

この二冊は・・滅多に手元から離すことはなかった
スケジュールと電話・・仕事の殆どがこれだったから・・

だから・・陶芸に転じて最初に決めたことは
「・・もう手帳は使わない!」だった
工房の壁にかけたカレンダーにメモ書きする程度
空白のスケジュールこそ・・至福の時間だった
それが10年続いた

しかし・・新しい世界に飛び込んで
誰も知らずに・・独りっきりで過ごせた時間も
10年の間には様変わりもする
工房だけでは済まない約束も・・チラリホラリ
それに・・記憶力は加速度的に鈍る
覚えきれずに失礼する場面も・・チラリホラリ
頭を抱えた・・
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ついに・・新しい手帳を買った
以前の二冊に比べれば・・小型で薄めのものだ
少し贅沢に革張りにした
どうせ座右の友・・いつも傍にいるなら
手触りも大事だ
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かくして・・かくも予定が書き込まれつつある
ことさらに忙しいのが好きなわけじゃない
そういう時代は終わったと・・思ってるからだ

しかし・・約束を守らないのも嫌いだ
できるだけ丁寧に書き込んで・・
失礼のないように・・とこころがけることにした

いつの日か・・この手帳がボロボロになるころ
「約束」に拘束される日々は終ってるに違いない
多分・・これが最後の手帳かと・・
革張りを奮発したのも・・そのせいかもしれない
by kamadatetsuya1017 | 2008-07-18 00:15 |
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