先頭車両

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階段を降りきったところに入ってきた電車に飛び乗ったら、先頭車両だった。
考えてみると先頭車両に乗ったのなんて・・しばらく記憶にない。大きなガラス越しに前方の景色が見えて、山手線の景色が違っていた。

旧古河邸と六義園を歩いた帰り、駒込駅からまた先頭に乗ることにした。
ショートケーキのようにホームの先っぽが細くなるあたりでないと先頭に乗れない。手を広げれば、上り下りのどちらにも届きそうだ。

暗い額縁の向こうに、山手線の線路が続く。左右の景色は流れても、前方の線路は動かない。
そうしてみると電車の運転は眠くなりそうだ。高速道路を運転するのを思い出すと、真っ直ぐで動かない景色は眠くなるからだ。

運転手さんの仕種を観察していたら面白いことに気づいた。
目の前のレバーを前後に動かして加速したり、ブレーキを作動させたりしているようだが、車と違って反応するまでに少し時間がかかる。

レバーを手前に倒すと、ちょっとしたタイミングのずれの後に電車は動き出す。そのままにしていると加速されて、やがて、レバーを前方に動かす。どうやら緩やかにブレーキが作動するようなのだが、その時点ではまだ駅も見えていない。

しきりと右手で指指し確認しながら、ホームの先端に届くころ、でも意外に速いのに驚く。
これで止まれるのかな・・・なのだが、最後は静かに停車した。プラットホームは思いのほか長いのだ。

加速するタイミング、それをはずして停止するための準備、慣れないと、どこでそれをすればいいのか判断が難しそうだ。
電車の運転なんて、ハンドルを使うこともないから楽なもんだと思ったら、どうやら違う。

急には止まれないのもよくわかった。自動車はお椀ボートみたいなもの、オールを水に差せばすぐにも止まれるが、電車の重量はタンカーなみだ。
ブレーキをかけてもとんでもなく先に行かねば停止しないわけである。

JR西日本の事故を思い出したが、ひとたび操作を誤れば、なす術はない。
眠くなりそうな直線で、踏み切りの飛び出しや不埒な置石に目を凝らしながら・・こりゃ大変な仕事だと・・・。
あっという間に西日暮里に着いた、何事もなく・・・。
by kamadatetsuya1017 | 2005-12-18 00:23 | 風物
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