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伝説

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近衛兵というのは・・日本の場合天皇を守る兵隊
だから往時の軍隊では・・名誉な軍役だった

その近衛士官は・・偉い士官だったらしい
何故なら・・
天皇の閲兵の折りに・・
馬に乗って兵を指揮してたからだ
詳しいことはわからないが
もっと偉い指揮官の副官だったとか・・

天皇に向かって整列する兵隊を
馬に乗って指揮するとは・・つまり
天皇に背を向けることになる

この話・・以前に一度書いた覚えがあるが・・
折々の折り でものはれもの
我が家に伝わる伝説は・・ここから始まる
私にとっては見たことも会ったこともない
大叔父のひとりにまつわるエピソード
明治天皇の御代の話である

この騎乗の偉い士官さん・・
何やら号令をかける段になったが
気張って大声で号令した・・その途端・・
思いもかけず・・ほんとに思いもかけず
一発・・ブイと放屁してしまったらしい
・・出ちゃったんですなぁ・・
勿論・・意図してのわけはない
モラル欠如の昨今とはわけが違う
何せ・・明治時代の話なのだから・・

その屁は・・
そこが偉さの不運なのだが
背中に立たれている天皇めがけたみたいになるではないか
これは由々しきことである

それに更に不運にも
天皇と自分の間に騎乗していた
もっと偉い指揮官さんに聞こえてしまった・・
同情はすれども・・「ほっとけねぇ!!」・・である

どういう経緯をたどってか・・
この士官さん・・左遷されることになった
それはそれで幸運だった
徳川時代だったら・・切腹だったかも

左遷された行き先が・・
それが丹波篠山だったとか・・

我が一族に伝わる・・放屁伝説
若いころ・・死んだ親父に聞いた話だが
妙に親近感を覚えて・・
工房でロクロをまわしながら
思わず力んで・・ブイッ!の際には・・
どうしても・・思い出すのである

ちなみにこのフォト・・
先日 岡部嶺男展で訪ねた
東京国立近代美術館工芸館だが
もとは・・
近衛師団司令部だった建物である
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私にとって・・忘れがたい『丹波篠山』
とうとうこの地を訪ねる初めての旅は・・
丹波焼きを訪ねる旅でもあり
伝説をたどる旅でもあった

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ひとことで言うなら
丹波篠山は・・
断じて左遷って雰囲気の場所ではない・・
むしろ・・栄転である
こんな素晴らしい里山・・
四斗谷川のほとりに立って
首を一回りするだけで
ひとは・・ひとらしいこころを取り戻すだろう

平安の時代からこのかた
窯元の集落を包むように緑豊かな丹波は
備前 越前 信楽 瀬戸 常滑とともに
六古窯のひとつなのだ
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篠山城は・・
家康直々に築城を命じた要路の拠点
初代城主の周防守康重は家康の実子
城のもつ意味合いも判ろうというものだが
その康重の前任地が・・
なんと笠間城ってのがいいではないか・・
笠間から・・丹波へ・・
やっぱり栄転である
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銘菓で茶を喫し・・
これほどの天気に恵まれることも少なかろうと
薫風を満喫した丹波
窯元を訪ねての探訪も
日を変えて・・のつもり

日本陶芸展大阪展・・の翌日
恒例で・・独りドライブをしながらの
素晴らしい一日だった・・

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by kamadatetsuya1017 | 2007-05-22 11:57 |

画伯のアトリエ

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彼の・・制作拠点はスペインである
このブログのカテゴリー「人」をクリックするとそれがわかる
一方で・・房総半島の南端のあたりに
若いころ・・自分で建てた小さなアトリエもある
行ったり来たり・・
都会の雑踏とは無縁な・・静かな時間の中で
素朴な人間の匂いに包まれた情景画が生まれる
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ここでも描ける
でも彼のモチベーションは・・
遥かなパステルカラーのフェレイローラ村にあるのかもしれない
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中学高校時代に・・彼と一緒に机を並べた旧友二人を誘って
石井画伯のアトリエを訪ねたのは・・
近々スペインに戻ってしまう前に・・という
かねての約束だったからだ
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美術工芸の類とは縁遠い進学校だったから
一途に東京芸大をめざした石井画伯は異端だったかもしれないが
今でこそ画伯の彼も・・専攻は工芸
かなり傷んではいるが・・窯も残っている
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人間国宝の陶芸家教授の指導を受けて
「おれだって・・ロクロ挽いたぜ・・」
確かに伊羅保釉で焼いたぐい呑みが
今も健在である
彼が陶芸を捨てて・・油彩に走ってくれたから
同期に画家は彼ひとり・・
陶芸家も・・私ひとりってわけだ
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さりながら・・・
出自の正しいアーティストの彼に
手土産とはいえ・・大皿一枚を抱いて出向くのは
やはり勇気がいる・・ものだ
でも・・全ては・・幼な馴染のよしみに包まれ
タイムトンネルの中には・・温かな空気だけが漂っていた
嬉しいではないか・・・
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「パスタ食いに行こうぜ・・!」
太平洋の潮風に当たりながら
テラスデッキで・・・ワインと
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このパスタ・・これが美味い
聞けばシェフは・・代官山にも店を・・とか
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「飛行機の中って・・
電話も来客もない気ままな時間だから・・
嫌いじゃないよ・・!」
年に一、二度往復するたびに
個展があって・・
新しい画集と著作が出版される
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豊かな晩節は・・
まさに豊饒の大地スペインの地平線の上に
確たる一線を描いて・・凛としているみたいだ

あっという間に・・
日が昇って・・日が沈んだ
「8月には戻るよ・・・」
また会おうぜ・・なのだ


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by kamadatetsuya1017 | 2007-05-18 00:28 |

留守番

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早朝6時過ぎに出発していった娘の運転する車は
妻と母を乗せて・・知人を訪ねて熱海に向かった
渋滞覚悟のドライブだったが
聞きしに勝る鈍行で・・・さすがに5月3日である

およそ半日かけて・・昼少し過ぎに着いたらしい
約束の昼食にはかろうじて間に合ったようだ

工房で留守番を決め込んだ私は・・・
約束もないままに・・独り昼食を作って食べた
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チョロッと茹でて・・そのまんまお構いなしに・・
そのつもりだったが
ふとフォトでも撮るか・・と
ついに自作の器を引っ張り出して
自作自演の昼食になった

天目鉢に・・讃岐のうどん
灰釉小鉢は・・数の子わさび
右奥の粉引き片口は・・白菜の漬物
黄瀬戸を・・そば猪口にして
右手前は・・
併せ描けの灰釉鉢に・・いぶりの合鴨
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天気につられて・・昼下がりの散歩は
お気に入りのハーブ園
連休とあって・・大賑わい
ロウバイの一枝を・・眺めつつ
冷たい珈琲に薫風ひとしきり・・
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おんな三代寄り添った温泉宿の
そのかまびすしさとは無縁に
近所で買い求めた食材で・・
桃次郎相手に静かな夕食

ほっけを焼いて織部に盛った
見込みを白っぽくして
周りを黒釉で焼く食器は
近頃のお気に入り
刺身こんにゃくと
昼の余りの漬物と数の子わさび
粉引き豆小鉢にうずら豆
わかめと豆腐の味噌汁は
これまた最近お気に入りのあごの出汁が利いている

茶道具で焼いた茶碗は
少し大ぶりだが・・
使い込んで風合いがでてきた

チラッとビール一杯
近頃便利になって・・
低アルコール・・これなら何とかなのだ

器を選んで使ってみる・・
たまのことだが・・
独りっきりの留守番ならでは・・である

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by kamadatetsuya1017 | 2007-05-05 23:58 | かまだ食堂別館