カディスの赤い星

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ボタニカル・アートの第一人者だった太田洋愛氏の遺作展
10日ほど前にお訪ねした・・二度目のこと
没後20周年・・李下に道あり・・沢山のファンが集まっていた

洋愛画伯のご子息は・・大学の一年後輩
同じクラブ・・50本ほどのギターアンサンブルで一緒だった
私は指揮だったが・・彼はフラメンコ・ギターを好んで弾いた
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「半分仕事で・・半分遊びだけど・・
セラニートを招いてフラメンコ・ギターのコンサートを開くことにしました
たまには・・いかがですか・・?」・
太田君からの誘いがあったのは・・去年の暮だったろうか

半分仕事というのは
彼の本業が・・テレビ東京ミュージックの社長
モーニング娘などを抱えるプロモーターなのだ
残りの半分が遊びなのは・・
言うまでもなく・・彼自身がフラメンコのギターを弾くからである
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日中・・前日から始まった菊池ビエンナーレの展覧会で
自分の作品を眺めた後・・妻を連れ立ってコンサートに出向いた

早めに着いた会場には・・
それらしき愛好家が多いように見える
今となっては・・メジャーな音楽ではないかもしれないが
一方では・・深くフラメンコを愛する人々もいる
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このコンサートのもう一つのコンセプトは
直木賞作家逢坂剛さんのステージ・トークで
コンサートをナビゲートするということだ
彼もまたフラメンコ・ギタリストでもある

「カディスの赤い星」・・彼の受賞作だが
スペインとフラメンコギターが舞台なのだ

ロビーで立ち話をしていた大田君から紹介されたが
逢坂剛氏は・・実は高校時代の一年後輩でもある
同じ時代にキャンパスにいたのだが
彼が作家だと知ったのは・・随分と後のことである

洒脱なトークで・・伝説のマエストロと・・
それを継いでゆく若きギタリストの素描が
音楽の合間を埋めあわせ
切々とした哀感に共振する心情を
何とはなしにニュートラルに戻してくれたりもする
おしゃれなコンサートなのだ
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マエストロ・・この言葉が一番ふさわしい
ビクトル・モンヘ・セラニート・・私と同じ歳
しかし・・彼はまぎれもなくマエストロ・・巨匠である

音楽が早くなればなるほど
激しくなればなるほど・・
彼の指はしなやかに・・力を抜く
音は強いが・・優しく
6本の弦は・・それぞれに琴線なのだ
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一緒に演奏した沖仁・・日本を代表する若手のギタリストだそうだ
セラニートのもとへ押しかけ・・入門を乞うた折り
「・・弾いてごらん・・」といわれて弾いたファルーカを
途中で遮られて・・最後までは弾かせてもらえなかったとか・・

「今夜は最後まで弾かせてもらえるでしょうか・・?」と言いながら
聴いている者全てを魅了して・・最後まで弾いた

いつの日か・・大半の力を抜いても
強くて・・激しくて・・甘くて・・切なくて・・
そして・・セラニートのような優しい音色を手にするためには
今は・・若者らしく力強い演奏こそがふさわしい
充分に・・将来を予見させる演奏だった
by kamadatetsuya1017 | 2009-04-03 01:09 |
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