黄瀬戸釉に織部を合わせて掛けたぐい呑み。
黄瀬戸も織部も、桃山陶を偲ぶ伝統釉である。だから名手の手になる名品も多い。
いつだったか、黄瀬戸を調合していて、たまたま頂いた灰をうっかり目分量で混ぜた。ところが、これがとても気に入った発色で焼きあがった。そんなものである、大事なときにデーターがとってないのだ。
やがて使い切って、それっきりになってしまった。もう一度再現しようと思いながらまだ作っていない。今回のレシピは、それとは違う配合、そのせいか深みには欠ける。もっと光沢のない油揚げ手の器肌が好きなのだが、それも不十分だ。
でも久しぶりに焼いた黄瀬戸に織部の組み合わせ、土味を損なわない温かみはやはり魅力的なやきものである。