宝箱

思いがけず・・これが見つかった
懐かしい「宝箱」である

少々長いけれど・・こちらを読んでいただけるでしょうか?
boss died

まだ貧しい世の中だったが・・右肩上がりの活気に満ちた時代だった
大学を卒業して30代までのわずかな時期
テレビ番組をプロデュースするのが・・私の仕事だった
カメラを回すのは仕事ではないが・・
ときどき・・どんな調子?・・とファインダーを覗いたものだった

漫画家の松下紀久雄さんをホストにした「日曜大工110番」
スタジオ制作の番組・・まるで合宿みたいな現場だった
スタッフのHさんが・・暇を見つけては手作りしたのがこの宝箱

この番組の直後に退社することになった私に
スタッフから・・と・・プレゼントされた
送別会の夜のことだった・・

この宝箱の蓋の裏側に・・「バカヤロ・・・」とある
誰が用意したのか・・その場で彫刻刃で彫ったものだ
蓋の裏側だったから・・色褪せることもなく
まるで・・昨日のことのように鮮やかである

箱の側面に・・S46・9・9とある・・1971年
40年も昔のことだが・・記憶もまた・・まるで昨日のことのようだ

今は亡き我がボス・・人生たったひとりの「我がBoss」
この笑顔もまた・・鮮やかによみがえる
ためらうこともなく・・手にした彫刻刃で
「バカヤロ・・」と彫った・・言葉と裏腹の慈愛・・愛情も
決して忘れることはない

アラスカで倒れた私を迎えにきてくれた・・あの日のボスがこれ
アンカレッジの冷たい氷の世界の中で・・いい笑顔でしょ
モーテルのパーキングで・・・私が撮った写真です
# by kamadatetsuya1017 | 2009-10-20 07:50 | | Trackback | Comments(9)
変遷・・糸抜き技法

この10年近く・・
公募展の出品は・・これだった
「糸抜き波状紋大皿」・・概ね50センチ強の皿に加飾したものである

拡大部分図にすれば・・こう
写真にするとモアレになりやすく・・面倒な装飾でもある
糸を貼り終えたところで・・これから白泥の化粧を施す直前
白泥を吹きつけたら・・後に糸を剥がして紋様を浮き上がらせるという寸法
糸と糸の間隔は・・広いところでも数ミリである

↑のように波頭を立てる場合もあれば・・
穏やかで柔らかな波を描くこともできる

次の展開を考える時期にもきているから
少しづつ・・新しい試みもしているが
これは・・「天衣紋」とでも・・
天女のケープが風に舞う・・そんなイメージだろうか

30センチほどの皿にも・・施してみた
実用への応用・・のつもりである

黒い素地にオフホワイトの白化粧を掛ける予定である

実際に焼成すると・・こんな具合である

下絵で色を入れてもみた
しつこくならないように・・そう心がけているが・・

この50センチほどの「糸抜き菱線紋六角大鉢」
既に焼成してあって・・秋の個展のDMはがきに使う
先日プロのカメラマンさんに撮っていただいて
目下印刷中・・近々ご披露のつもりである

今していることの完成度をあげること・・そして
次に何をしようとしているのか・・を探ること
還暦もとうに過ぎたが・・結構慌ただしい
幸い・・体に不調があるわけでもないので
もう少し・・頑張ってみようと・・思っている


第56回 日本伝統工芸展・・のこと・・more・・で


More
# by kamadatetsuya1017 | 2009-08-28 09:51 | 陶芸 | Trackback | Comments(16)
「酸化」・・と・・「還元」
今夜は・・少し陶芸の話・・
↓の二枚の写真は・・
同じ土・・同じ釉薬・・違う焼成方法
ガラリと雰囲気が変わります

半分陶土で半分が磁器土で作られた「半磁土」を轆轤で挽いて
黒天目釉を掛けて・・その上に鉄赤釉を垂らして
電気窯による酸化焼成で焼いたのが・・これ↑

酸化焼成というのは・・
窯に火を入れてから・・最後まで
たっぷり酸素を送り込んで焼く焼き方
天目釉が僅かに深い溜色のワインレッド色調で
鉄赤が・・真赤
これはこれで・・少し華やかな黒の世界です

↑は・・
全く同じ土に・・同じ釉薬を掛けて
ガス窯の還元焼成で焼いたもの

還元焼成というのは・・
900度までの酸化焼成の後に
それを越えたあたりから
窯に送りこむ酸素の量を減らして焼く焼き方

判り易く言えば
エントツの引きを押さえて
窯内を燃焼ガスで充満させ
外から酸素を取り込めないように仕掛ける・・ってこと

こうすると
窯の中で・・燃えるために必要な酸素を
中に詰まっている器の粘土や釉薬から奪って
燃えようとするのですが・・
これが・・還元焼成・・というわけです

そのせいで・・
窯の中で・・思いがけない変化が起こり
(これを窯変というのですが)
酸化焼成とはちがった雰囲気がでてきます

一枚目に比べると・・
二枚目の見込みの赤色は・・ちょっと複雑
僅かにメタリックな輝きを含みました
この変化が・・還元焼成の醍醐味ともいえます

同じ土・・同じ釉薬・・なのに・・
焼きあがりの大きな変化が面白いのです

あなたは・・どちらがお好き・・?

# by kamadatetsuya1017 | 2009-08-12 00:21 | 陶芸 | Trackback | Comments(8)
ウィンストン・チャーチル

ネットでウロウロしていたら・・こんな言葉を発見した
『・・過去を遠くまで振り返ることができれば、未来もそれだけ遠くまで見渡せるだろう・・』
ウィンストン・チャーチルの言葉だそうだ

言い換えれば・・
「昨日のことしか振り返ることのできない人には・・精々明日のことしか見えないだろう」・・でもある
考えてみれば・・賢さとは
知っている知識の量ではない・・想像できる範囲の広さのことだ
洞察 慧眼・・いずれも量ではなく・・質を表す言葉だ
つまり・・知識は昨日であり・・想像は明日
昨日を明日に変える力・・過去を未来に活かす力
それが賢さだと・・私は思う

だから・・
知識の量をもって秀才としようとした教育の本質的な間違いは
その知識が・・想像の深さを育むためのものだと・・教えなかったことだ

折角遠くまで振り返る知識を持ちながら・・
精々明日のことしか考えられない貧弱な想像力
この矛盾に満ちた半熟卵たちが取り仕切る現代社会

たった3年前に終わったばかりの小泉イズムの壁さえ乗り越えられない・・政治家たち
自らの無能を隠蔽するために・・簡単に人を切れる仕掛けに奔走した・・経営者たち
国家百年の計とは・・自ら栄華を極める手順だと信じて疑わない・・官僚たち

人類千年の歴史を紐解けば・・国家の指導者たるべき者には・・
犯すべからざるタブーがあって・・
犯せば死をもって償うほどの不名誉なことである

チャーチルの言葉にこんなのもあった
『金を失うことは小さく失うことだ・・名誉を失うことは大きく失うこと・・しかし勇気を失うことは全てを失うことだ』

指導者としてのタブーを破ったと思うのは・・
権力を手放すことを受け入れる勇気を真っ先に失い 
自らの立場を汚す不名誉にうごめき・・
そのくせ・・
密かに金だけはなんとかしたい・・と暗躍するおぞましさ
政治家に限ったことでない・・経営者も官僚も似たようなものだ

チャーチルの警鐘に・・身を正すのも勇気だが
期待するのも無理なのだろうか
誰とは言わないが・・
多勢の指導者たちの猛省なくしてこの国に将来はない

ついでに書けば
『その国の高齢者の状態を見ると、その国の文化の状況がわかる 』
これもチャーチルの言葉とある
老人をどう遇するか・・国にも礼節は必要だと説いている

この国の文化に不安を抱く老人たち・・
皮肉にも・・日に日に数は増えてゆく
世界に冠たる「長寿の国」ではあっても
世界に冠たる「文化の国」ではないようだ

真夏にうそ寒い話ではないか・・・

# by kamadatetsuya1017 | 2009-08-02 00:11 | | Trackback | Comments(6)
「駒」のセオリー

これは・・ヴァイオリンの「駒」である
四本の弦が乗っている
右からE A D G
その順に弦は細く・・音は高い

この「駒」には
微妙な丸みがついているのが見えるが
この曲線が実に大事
曲がり方ひとつで・・
弓をあてがう角度が変わる
弦を変えて音が移行する際に
無駄なく弓を滑らせるには
この角度が重要なのだ

それに・・
二弦にまたがって音を重ねる重音
角度が深すぎたら・・重ねにくい
一方浅すぎれば・・隣りの弦に触れて
単音が弾けなくなってしまう
駒のないギターは・・
弓では弾けない理屈である

左手で指板を支え・・右手で弓をもって弾くから
構えの段階では・・ヴァイオリン本体は
僅かに右に傾くのが普通
その演奏スタイルで・・
弓が自在に弦を選べる角度・・がこれなのだ

400百年以上のヴァイオリンの歴史の中で
経験が生んだセオリーなのだろう
たった四本の弦を・・
必要に応じて・・限りなくスムーズに移動して
単音の美しさを表現できるのも
また・・無理な力を入れずに重音を響かせる技法も
この駒の角度次第・・つまりセオリーがあるからなのだ

何ごとにつけ「セオリー」というものは・・
長い間には変わることはあるが
無暗に急ぎもせず・・個人的なものでもない
大勢が理解し承知して受け入れる「広さ」がセオリーだと思う

個性的に生きる・・大事なことだ
しかし・・
だからといって「セオリー」が不要だとは思わない
色々なことが自由に選べる時代と社会になったが
基本的なセオリーが見えない不安な時代と社会でもある

一人の声が届かず・・多勢の声が重ならない社会
「駒」のカーブは・・どうなっているんだろう・・?


# by kamadatetsuya1017 | 2009-07-19 10:50 | | Trackback | Comments(8)
すぐれもの

息子が独身だったころには・・こんなことはなかった(タブン・・)
だから・・これは嫁の真琴の気遣いだ
父の日・・
カードと共に宅急便でプレゼントが届いた

すぐに電話したが・・きっと仕事中だ・・でなかった
暫くして・・「お父さ~ん!・・今お昼の休憩になったから・・」
屈託のない声が聞こえてきた

「お父さんって・・カメラ入れたり入れなかったり
だから・・マチが深いのがいいかな・・って・・」
グレーがかかった淡いグリーンのバッグ
一目で気に入ったが
二目で・・もっと気に入った

上下のファスナーがダブルになっている
広げれば・・一泊くらいなら旅支度も大丈夫そうだ
確かにカメラを持ったり・・持たなかったり
その日の都合次第が多いから・・これは便利だ

「あなたのバック好き・・彼女は見破ったみたいね・・」
妻もお見通しのこだわりだが・・
病院時代とは違う使い勝手・・遠く離れていながら
気づいた嫁に・・感謝である

ついで・・に書いたら怒られそうだが
娘からも届いた・・地デジ対応テレビ
妻が・・居間と自分の寝室だけを交換したのを知って
私の寝室にもと・・奮発してくれたようだ

子どもたちの豪華なプレゼント・・
やっぱり少々歳とったらしい・・笑
# by kamadatetsuya1017 | 2009-06-22 23:52 | | Trackback | Comments(10)
てつ56 ハンドル (96/569)

いっそのこと・・勇気を奮って握りしめた手を放せば
ハンドルは・・倒れそうな側に巻きついて
思いがけず復元できたりするものだ

怯えて・・迷って・・あぐねて
挙句に・・しがみついたハンドルのせいで
・・自転車は倒れる・・愚かなことだ

誰のことか・・?・・って
さて・・誰のことだろう・・てつ


# by kamadatetsuya1017 | 2009-06-04 01:12 | ことば | Trackback | Comments(7)
斑鳩の里
法隆寺の素晴らしさは・・別に書こう
ともかく半日・・この荘大な聖徳太子ゆかりの寺で
いささか保湿能力に欠けた「我がこころ」は
飛鳥のみずみずしさに触れて蘇る思いだったからだ・・

法隆寺の土塀に挟まれるように歩き始めたこの道を
数キロ歩けば・・法起寺がある
これもまた別に書きたいことだが
大阪での「日本陶芸展」にお越しいただいたDR.Sに
「明日・・法隆寺を訪ねるつもり・・」とお話ししたら
是非にもと教えられた太子ゆかりの法輪寺 法起寺のひとつである

車は法隆寺に預け・・ホトホトと歩いた
こんな日は・・年に何度あるんだろう・・と
そう思わせる五月晴れ・・斑鳩の里に涼風が吹きぬける

法隆寺の五重塔を背に歩き始め
やがて法輪寺の三重塔が見え・・
過ぎれば遥か彼方に・・法起寺の三重塔が目に届く
まるで・・狼煙が目印のインディオの道しるべみたいだ

やがて目の当たりにすれば・・それはあまりにさりげないが
1500年からの悠久の「時」に濾過された仏のこころがそびえていた
法起寺の三重塔・・国宝である

殆ど訪ねる人もない月曜日の昼下がり
この閑けさこそ・・飛鳥の斑鳩に違いない
この国宝の前に立った刹那・・
胸をよぎったものは・・ルーブルのミロだった
ホールに何気なく置かれたあのヴィーナスである
歴史的な遺産は・・
遠くに眺めるのではなく・・近くで感じるものであってほしい

手でふれてはいけないが・・
触れたければ触れられそうなところにある・・
その距離が・・歴史にタイムスリップさせるのだ

この南大門・・ふと羅生門の映画を思い出す
まるで破れ寺のごとき風情だが・・それも自然
見る・・ではなく・・居る・・それが自然だと

繊細とか華奢ではない分・・ずっしりと胸に迫る三重塔
平安と平城の違いかもしれない
バロックとロマン派を隔てる空気
ここに似合うのは・・ショパンではない・・バッハだと思う

そんなことを思い浮かべながら・・
この即席みたいなブロックベンチで
いつの間にか・・2時間近くが過ぎていた

ここが京都なら・・
壊れそうな庫裡をほってはおくまい

蓮池に・・毎年のように蓮は健気に花をつけているが・・

ひとが作ったものは・・やがて傷み・・壊れる
しかし・・全てを括って・・そこに居合わせる
だから・・ここで2時間があっという間だったのだと・・思う

名所旧跡・・「所」も「跡」も場所だとは思いたくない
そこに漂う空気と時間・・たっぷりと味わうことができた
久し振りの旅の醍醐味だったような気がする
# by kamadatetsuya1017 | 2009-05-22 10:16 | | Trackback | Comments(24)
ちょっとしたお気に入り
なんとなく撮りためてあった「美味しいもん」のフォト
これで全部というわけじゃないみたいですが
ちょっとした・・お気に入り・・でまとめてみました

浅草の「小柳」のうなぎ
浅草寺のすぐそばのこじんまりした店だが
うなぎも飯も・・ボリュームたっぷり
下町っぽさがあふれて・・好きなうなぎです

銀座「木村屋」の・・あんぱん
へそのしょっぱさが・・餡の甘さを消したり・・強調したり
その塩味が好きです

沼津港の「丸天」の煮魚・・
切り身じゃなくて・・丸々一匹のこのきんめ・・
スーパーでも結構高いけど・・ここで食べると・・庶民食
それがうれしい店です

御殿場・・正確には裾野市だけど
「蕎仙房」の季節限定蕎麦・・鴨煮かけそば
熱い鴨汁に・・冷たい蕎麦をつけて食べる

こんな山の中・・どうやってみつけるの?・・って店だけど
いつも行列の店

千代田区麹町の「村上開新堂」って老舗のフレンチ
もともとはお菓子の店だけど・・勿論料理も絶品
それに心遣いの行き届いたレストラン

デザートにでるこのゼリー・・きれいでしょ
ちょっと食べちゃったあとのフォトだけど
各種・・好きなのをとっていただく・・ってわけ

芝大門の近く「新亜飯店」は・・中国人のお店
ここの小籠包は・・もう20年来のお気に入り
ちっとも「小」じゃなくて
一枚の蒸篭に大ぶりな小籠包が8個
独りだったら・・これで終わっちゃう

口の中やけどしそうだけど
ジューシーな肉汁がたっぷりで美味しいのです

市川の「麻生珈琲」のトルコ・コーヒ
どろっとしたコーヒーの上澄みを呑むのだが・・これが好き
遠い昔・・トルコ大使館でいただいた珈琲が美味しくて
でも・・飲ませる店は少ないみたいです

人形町甘酒横丁の「久助」のやきとり弁当
昼のメニューはこれだけ
だから・・飯の大中小を注文すりゃ
3分後には食べられる
せっかちには・・なんとも嬉しい店だが
早いだけじゃない・・美味い

# by kamadatetsuya1017 | 2009-05-10 00:52 | 食べ物 | Trackback | Comments(18)
プリント・アウト

初めてインターネットに触れた2001年
その年の6月7日に・・
エッセイ「折々の折り」の最初を書いた

今読むと・・それは
「第16回日本陶芸展」の記事である
二年に一度のビエンナーレ展
明日まで大丸ミュージアムで開催されているのが第20回
8年の歳月が流れたことになる

最初は・・気ままな記載だった
本気で書き始めたのは
2002年10/25からである

やがて期するものがあって
一年365日・・連続で更新すると決めた
今思えば苦しい夜もあったが
3年ほどかかって・・1001夜を完遂した
2005年12月12日のことだった

すべてプリント・アウトすることにした
それが・・このフォトである
高さにして・・
10センチを越え千数百枚になった

ファイルでも読めるが・・
このボリュームはプリントしてみないと分らない
少し人間が古いから・・
紙にして初めてわかる足跡ともいえる

こうして見て・・
もう二度とできないだろうな
そう思う・・

きちんと綴じて・・
もう一度読みかえしてみようかと・・

私のウェブに・・いまもある
もしお暇があったら・・
立ちよってみてください

折々の折り

# by kamadatetsuya1017 | 2009-04-19 23:16 | 折々の折り | Trackback | Comments(16)
< 前のページ 次のページ >